大切にしていること

大切にしていること

「今日やりたいことある人いる?」

「川で魚とりたい!」
「みんなで鬼ごっこやりたい。」
「まだ決まってない。」
「薪を砕いて中にいる虫を捕まえたい。」

朝のミーティングの時の会話。おのおのやりたいと思っていることを伝えあいます。

オフィスマンモスのキャンプでは「この時間はみんなでこれをしましょう」といういわゆる時間割や「〜をできるようになりましょう」という類の目標を、あえて設定していません。なぜならばそれらを設定した途端、子どもも大人も計画や目標を達成すること(または達成させること)を活動の価値や成果を測る指標にしてしまい、そこで起こるひとつひとつの過程がおろそかになってしまうところがあるように感じるからです。

子どもたちが自分自身や人や世界と調和的に、のびやかに、たくましく育ってほしいという願いを、私たちはきっと共有しあえることと思います。それを、生の感覚や学ぶ楽しさを歪ませることなく実現するにはどうしたらいいのかを僕は探りつづけており、今はこの形に落ち着いています。

やりたいことをやる。自分の好奇心を出発点に、動いてみる、試してみる、遊んでみる、関わってみることのできる場。思いを形にしていくことのできる場。プロセスまるごとを体験できる場。そうした場での体験は単なる特定の技術の習得を超えた、より深い、応用可能な、人生をつくっていく力に直結すると考えています。

ただし葛藤もあります。「やりたいことをやる」ということは裏を返せば、本人が知ってる範囲のことに活動が留まってしまいがちということでもあります。本人が知らないだけでやってみたら実は楽しいことってたくさんありますよね。「やりたいことをやる」からといってあたらしい体験に出会えないのはとてももったいないですよね。

マンモスでは毎回、僕がなにかしらのプランを持っていくようにしています。例えば春に野草の天ぷらをしたり、石臼で粉を挽いてお団子を作ったり、竹で工作したり、石焼き芋をつくったり…などなど。子どもだけでは出てこない発想や規模や材料をつかったもの、季節の自然を生かした活動が主です。あくまでも自分の目から見てですが、きっとこれはこの子たちにとって良いだろうなと思う体験をできる機会は作りたく思います。

ここでの体験が豊かな人生をつくりだす底力となりますように。

鈴木啓太

 

鈴木啓太
プロフィール

1989年生まれ。保育士・小学校・中学校の教員免許所持。
大学卒業後、徳島県自然スクールTOECにて2年間研修生として保育・教育現場で働く。現在は認可外保育園・フリースクールにちにちのはらで働きながらオフィスマンモスにて里山でのキャンプやエコツアーなどを企画・運営している。なお、オフィスマンモスは2016年から活動。